「社内GPT」を配れなくなった、という話ではありません
社内向けのカスタムチャットボットを作って、リンクで配る。ここ数年、多くの会社が取ってきた共有のしかたです。ところが2026年に入り、主要3社の「カスタムAI」の位置づけが、そろって「手順を書いたSkill」の側へ動いています。本稿執筆時点(2026年10月)で、公式に案内されている内容を整理します。
図13社の動き(2026年10月時点で確認できたこと)
- 01
OpenAI:GPTsは終了予定公式ヘルプのFAQでは、新規作成の終了が9月25日(予定)、カスタムGPTが動かなくなるのが2026年12月11日とされている。ChatGPT側にはSkillsとプラグインがある
- 02
Google:SkillsがGemsに代わるWorkspace更新ブログによると、Skillsは再利用できる指示で、SKILL.md形式。Gemsは移行が進み、法人向けの終了は2027年3月1日より早くならない
- 03
Anthropic:チャットと作業が一つに2026年9月16日、Cowork(エージェント的な作業)とチャットを一つのClaudeに統合すると発表。まずPro・Maxから順次
完成したボットを配る前提から、手順(Skill)を配る前提へ。3社とも同じ方向
細かい注意が2つあります。
- 終了時期は社ごとにまったく違います。 GPTsは2026年12月、Gemsは法人で2027年3月以降です。「全部いっせいに廃止」ではありません
- プラグインは「Skillの入れ物」とは限りません。 ChatGPTでもClaudeでも、Skillは単体でも共有・配布できます。プラグインは、Skillに加えて外部サービスとの接続などをまとめて束ねる単位です。Geminiについては、2026年10月時点でプラグイン相当の束ね方を公式情報では確認できていません
配る単位が、「ボット」から「手順」に変わる
GPTs型の共有は、完成したチャットボットを配るものでした。受け取った人は、そのボットの画面を開いて話しかけます。うまく動くかどうかは、ボットを作った人の設計次第です。
Skill型は、手順と判断基準を配るものです。受け取った人は、自分が普段使っているAIにそのSkillを持たせます。AIは依頼の内容に合わせてSkillを読み、手順どおりに動きます。
図2GPTs型とSkill・プラグイン型の違い
配るもの
完成したチャットボット
手順・判断基準・出力の型(必要なら外部接続も)
使う場所
そのボット専用の画面
各自がふだん使うAIの中(チャットでも作業でも)
AIの動き
ボットの中で応答する
依頼に合うSkillを読み、手順どおりに実行する
直し方
作った人がボットを更新する
手順を書き換えて、新しい版を配り直す
組織で気にすること
誰が作ったか・誰に見せるか
どの手順を標準とするか・誰が承認して配るか
共有の単位が「ボット」から「手順」になると、運用の論点は作り方より標準の決め方に移る
なぜ、この単位の変化が起きているのか
チャットとエージェント的な作業が一つの画面にまとまりつつあります。Anthropicは、チャットとCoworkを一つのClaudeにまとめ、簡単な質問か多段の作業かをClaudeが判断する形にすると説明しています。そうなると、「このボットを開いて使う」という切り分けは意味を持ちにくくなります。AIは、どの場面でも同じ手順書(Skill)を読んで動けばよいからです。
図3共有の考え方が変わるところ
これまで:ボットを配る
- 用途ごとに画面(ボット)を用意する
- 使い手は、ボットを選んで話しかける
- うまく動かないとき、原因が設計か使い方か分かりにくい
- AI側の機能が変わると、ボットごと作り直しになりやすい
これから:手順を配る
- 仕事の型を、ファイルとして一つ置く
- 使い手は、いつものAIに普通に頼む
- 手順がファイルなので、読んで直せる
- 同じSkillを、チャットでも作業でも使い回せる
手順をファイルにして持つと、AIが入れ替わっても、自社の仕事の型は残る
僕自身、Skillを自分のPCのフォルダに置き、AIに読ませて仕事をしています。仕事のやり方が「ファイル」として手元に残る感覚は、チャットボットの設定画面に入れていた頃とは別物でした。Skillそのものの考え方は「毎回ゼロから説明していませんか」にまとめています。
ここから先は、限定公開パートです
手順・テンプレート・チェックリストなどの実践部分は、顧問先・研修先の方にパスワードでお読みいただけます。
- 既存のGPTs・Gemを「手順」に置き換える棚卸し
- 切り替え前に確認するチェックリスト
- 「ボットのまま残す」ものの見分け方