「Skillの説明はわかった。で、実物は?」
Skillの考え方や書き方の観点は、ほかの資料で整理してきました。けれど、社内で最初の1本を書こうとすると、多くの人が同じところで止まります。どこまで細かく書けばいいのか、何を書かないのか、人が確認する場所をどう書くのか。説明を読むより、実物を1本見たほうが早い部分です。
そこで、企業での導入を想定したSkillを6本、実際に動く SKILL.md として書きました。業種も部署もばらばらにしてあります。会社はすべて架空ですが、業務はどの会社にもありそうなものを選んでいます。
図16本のサンプルと、想定する会社(すべて架空)
- 01
商談報告書をつくる蒼月トレーディング(専門商社)営業部。商談メモから、案件名・商流・取引条件・次のアクションをそろえた報告書に
- 02
現場の不具合メモを整理する朝凪精機(製造業)品質保証部。走り書きを、事実と未確認の点に分けた報告の下書きに
- 03
取引先向けの案内文を点検する汐見野銀行(地方銀行)営業推進部。見込みと確定の書き分け、誤解を招く表現を一覧で指摘
- 04
店舗からの問い合わせを仕分けるあかり市場フーズ(食品スーパー)店舗運営本部。分類・緊急度・担当部署。食品の安全は人へ即連絡
- 05
顧客の要望を分類するナギサクラウド(業務管理SaaS)カスタマーサクセス。機能・画面・理由で分け、既存の要望との重複候補を出す
- 06
見積書の初稿をつくる風待ホーム(住宅リフォーム)。現地調査メモから項目と数量を拾う。単価と金額は人が入れる
業種が違っても、Skillの骨格は同じ。違うのは手順と、人が止める場所
6本に共通する作り
6本とも、同じ骨格で書いています。自社で書くときも、この順番をそのまま使えます。
図2SKILL.md の骨格
- 01呼び出し条件使う場面と、使わない場面(隣のSkill名)
- 02目的と入力何のために、何を受け取るか
- 03手順番号付きで、順番どおりに
- 04出力の型見出しやテンプレをそのまま書く
- 人人が確認する地点どこで止めて、誰が見るか
とくに意識したのは、次の3つです。
- 推測で埋めない。 数字や事実がメモにないときは、空欄や「確認事項」に回します。見積のSkillでは、単価と金額は最後まで人が入れる欄として残しています
- 危ないものは、AIの判断で止めない。 食品の安全に関わる問い合わせや、製造現場の安全に関わる不具合は、分類より先に「人へ即連絡」を出す手順にしています
- 隣のSkillの名前を書く。 「お礼メールならこちら」「見積の回答は別」と、使わない場面に担当を書いておくと、取り違えが減ります(取り違え防止の考え方は「スキルとプラグインで、社内の作業手順を標準化する観点」にまとめています)
本当に呼び分けられるか、試しました
6本を1つの環境に入れ、28本の依頼文で、どのSkillが呼ばれるかを試しました。「商談」「見積」「問い合わせ」「要望」のように、同じ言葉を含むのに担当が違う依頼を、わざと混ぜています。
図3紛らわしい依頼の例と、試験の結果
依頼文
呼ばれるべきもの
結果
例1
今日のA社との商談メモを、商談報告にまとめて
商談報告のSkill
○
例2
A社に、今日の商談のお礼メールを書いて
どれも呼ばない
○
例3
店舗から「発注画面の使い方がわからない」と問い合わせ
店舗問い合わせのSkill
○
例4
リフォームの見積書の単価と合計金額を計算して
どれも呼ばない
○
28本すべてで、期待どおりのSkillが呼ばれた(呼ばれるべきでない依頼では呼ばれなかった)
ただし、これで十分とは言えません。依頼1本につき1回ずつの試験で、回数を重ねた統計ではありません。環境にあるSkillはこの6本だけで、数十本が入った社内環境での取り違えは確かめていません。自社に入れるときは、自社の依頼文で同じ試験をしてください。
ここから先は、限定公開パートです
手順・テンプレート・チェックリストなどの実践部分は、顧問先・研修先の方にパスワードでお読みいただけます。
- 6本をまとめてダウンロード
- 1. 商談報告書をつくる(蒼月トレーディング 営業部)
- 2. 現場の不具合メモを整理する(朝凪精機 品質保証部)
- 3. 取引先向けの案内文を点検する(汐見野銀行 営業推進部)
- 4. 店舗からの問い合わせを仕分ける(あかり市場フーズ 店舗運営本部)
- 5. 顧客の要望を分類する(ナギサクラウド カスタマーサクセス)
- 6. 見積書の初稿をつくる(風待ホーム)
- 呼び分け試験の全結果
- 自社で使うときのチェックリスト